文化ボランティア カズバインド
チンドンさんのおんがく雑談
街の広告塔として、
派手な衣裳と賑やかな音楽で、
パフォーマンスを繰り広げるちんどん屋さん。
どんなお仕事をしているのか、
ちんどん屋さんって何なのか、
そしてあの音色を聞かせてもらいに、
東西屋はちんどん通信社さんに、
カズが会いにいってきました。
目次 (全6回)
  1. 場をほぐす 2006.12.27
  2. 笑いの記憶 2007. 01.27
  3. 楽しい仕事 2007. 02.13
  4. 見えない誰かに 2007. 03.3
  5. 無駄だらけ 2007. 03.19
  6. 音と道具 2007. 03.19

ちんどん通信社さんのプロフィール ちんどん通信社さんのプロフィール
サービス業と芸能の融合を視野に入れ、この世界に新風を巻き起こし、持ち前の機動力と柔軟な対応力を備え、枠を越えたその活動は多種多様の八面六壁。
フレキシブルで確実な対応力は業界随一です。
富山・全日本ちんどんコンクール7回優勝、海外公演回数多数の実績をもつ史上最強のチンドン集団です。

4. 見えない誰かに

「例えばお店屋さんの宣伝したりするのも、
だいたい大昔だったら、 何かわけがあって、
芸能界でお芝居やってて、 落ちて落ちて落ちて地べたで、
チンドン屋で街回らなければならなくなったんじゃないかとか、
まあそんな人もいたんですけど、
私らは、最初から落ちていなくて、最初から出発点ですから。
ほんでチンドン屋全盛時代のね、
昭和30年頃に、若手のチンドン屋さんが、いっぱい出てきたんですけど、
その頃は ほっといても仕事があって、
宣伝しなくても物が売れた時代なんですね。
今は、最初から、いくら宣伝しても物売れないし、
ほっといたら、 もっと売れない時代のチンドン屋ですから。
全盛時代知ってる人にしたら、もう砂漠みたいなもんですよ。
ところが、僕ら全盛時代知らないから、
チンドン屋こんな仕事があるのか、この程度で役に立つのか。
ほんで私ら街回っていろんなとこ行って、
逆に日本には、 いろんな場所があるなあ、
いろんな人が住んでるなあ、
いろんな人生経験持った人がいるんだなあ、
子供からお年寄りまでいろいろ逆に私ら、
仕事しながら学ばせて頂いてるなあと、
いろんな話し聞きますからね。
だから、 生活そのものなんです。」

 私たちの生活空間がチンドンさんの舞台。
 だから仕事が生活そのものなんですね。

「普通の人は、 会社で働いて月給とボーナスもらって、
そのかわり、 家を建てたり、 車を買ったり、 海外旅行行くんですけど、
私らその全部やってやれないんですよ。
やらないんでやれない。
やれないんですよ。
その代わり、仕事で旅行に行ったり、
もちろん幸いにして、年に1、2回海外からお呼びがあるから、
海外旅行の気分を味わって、日本語の通じないところで、
どうやってコミュニケーションをとるかを勉強させて頂いて、
日本の文化を振り返るいい機会にもなる。
仕事中を生活だと思って、
でやって行くと、もう非常に楽で、
僕はそういうことを、高校時代までなんか自分に合った生き方は無いかなと思って、求めてたら、結局こういうことに行き当たったんですね。
友達は、病院の外科部長になったり、
大学の先生になったり、病院の院長になったりいろいろなんですよ。
こういう、外車のベンツも持たないけど、
自分の生活で今んとこなんとか26年ほど、その日暮らしでこれましたけどね。
1981年から、プロの世界へ入って、
学生時代は、1978年からやってますから、
あとちょっとでもうチンドンに手を染めて30年なんですよ。
それが、あっという間なんですね。
でやればやるほど、自分のその、あのう、ものの見方とか視野がですね、
山登りといっしょで、登れば登るほど景色は良くなるけどさらに、上があったりとかね。
言うことで、 同じことやってるように見えて、
あのうやり易くなるのと、 まあたぶん、
次なる目標がでてきてね。」

 私たちの生活空間がチンドンさんの舞台。
 だから仕事が生活そのものなんですね。

「前は、舞台でやることと、道端でやること、
実際出演料だったら、どっ違うんですね。
舞台でやったら、こんだけお金が、
街周りすると、
実は、チンドン屋さんて街周るのがいちばん難しくていちばん修練がいるんですけど、いちばん社会的に評価が低くいから、お金がもらえないんですよ。
だから舞台でもやらなきゃいけないし、
舞台でも両方できないとお金もうちょっともらえないからと、
思ってやってきたんですけど、
でも初期の頃は、
舞台でやってる人のことやっぱりそれなりに尊敬してならなきゃと思ったんですけど、だんだんと両方いろいろやってるうちに、舞台も地べたも、
また歩き回る仕事も、止まってる仕事もまあ同じ心得だなと、
見る人だったり、見てない人も、
チンドンで街周って、家の中の人のことも最近見えてきて、
家の中でアイロンかけてるような人がいて、
その人に聞かせてるつもりで、もし誰もいなくても、
へでもないんですよ。で、もし砂漠でやってても。

よくあるんです、海岸の方でやってくださいとか言ってね、
海水浴場で誰もいないところで、でもまあきっとね。そこらへんにも、
天国にも、天国にいてる人に聞かせようとかね。
このへんにもいろいろ浮遊霊がいたりね。いろんな方が、
見えないけどいると思って、やってると、
でも一回、ほんと神戸の震災のときにね。
あのう長田の方はね。なんにも焼け野原で、
呼ばれてやってください、お願いしますって言われて、
やったことがあって、そんときほんとに誰もいないんですよ。
でもやってると、なんとはなしに、
もうもちろん家がまだ焼ける前のこと知ってますから、
やってると情景も思い浮かべるし、
まあだぶん亡くなられた方も、
聞いてるだろうなあと、何となく手ごたえ感じながら、
できましたりね。え〜そうやってくるとだんだん、
さらに仕事が楽しくなって、だから、今だったら、
1000件ぐらい仕事いってチンドン純粋にチンドンの仕事といったら、
そのうち7割ぐらいでしょうけども、もういちいちね、
あのうお金がどうこうっていうことなしにね。

数ありますから、
一日いくらくださいとか、
お金がなかったら、
さあそうですか。
タダで行きましょうという。
せいさんですから、
そのかわり、僕らを呼んでくれて、
ありがたいなと思ってくれる人じゃないと、
意味ないですからね。
まあ人の役に立つというのが、いちばんの再出発点なんです。
同じ太鼓をたたいても、ラッパを吹いても、
人の役に立つことがあるんだな。
役に立つ、どうしたらもっと役に立てるだろうという。
お酒飲まない人に、今日はビール100円ですよって言ったって、
関係ないんですよね。
ただチンドン屋さんの良いとこは、関係ない人に喜ばれるようなありかたで、
お酒飲まない人が居酒屋の宣伝してるチンドン屋見て、
ああ良いもの見たな。って思われるようなね。」

 素敵です。天国にいてる人に聞かせよう、見えない誰かに。


とうとうトランペットが加わりました 。どうぞ!

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